山田巳之助に北川町子が自分の下駄を渡すシーンの温かさに驚く。
こんなに繊細な演出を稲垣浩がするの、『無法松の一生』以来じゃないか。

山田巳之助が殺されてから抜群に面白い。
町中巻き込んだ長谷川一夫と富田仲次郎の取っ組み合いはまるで『静かなる男』ですよ。
決着を高峰三枝子に背負わせるラストも凄い。
ボロボロの富田仲次郎へつっと歩いてくる高峰三枝子の抑えた迫力がね、良い。
親分本気で惚れてたんだなあ。

衛星劇場
2017/08

祭から祭へ渡り歩く商人集団の新顔、かんしゃく玉の半次郎が主人公。
(かんしゃく玉…叩き賃1文で人に自分の頭を竹刀で叩かせるというものらしい)

必然に祭のシーンが多くなる映画ですが、昔のお祭感がどこか懐かしく、画面も賑やかで、こういう演出はいいですね。
団子をとても美味しそうに頬張る子供の姿に思わずほっこり。

さて商売繁盛する半次郎の前に、かつての御前試合で半次郎に片目を伊達にされた山根伊太八(演:三國連太郎)が表れる。
罪の意識から竹刀で一方的に叩かれ続けるが伊太八の気は収まらず、遂には真剣勝負へ。しかし役人が通りがかったため伊太八は再戦を誓い闇へ消えていく…。

そして物語後半はヤクザに親父を殺された吹き矢屋の娘の仇討ちを中心に回りだす。
仇である勝蔵親分を市中に引きずり回し、祭の商人や大衆がそれをワーッと追いかけてくるシーンはなかなかの迫力。

意外としぶとい勝蔵親分に多少苦戦しつつも、半次郎はついに娘と大衆の前で勝蔵の罪を自白させたのだ。

くっ…そうだ俺が殺したぁ！
やったー仇をひっ捕らえて役人に突き出したぞ！
完！

えっ！？

娘はそれでいいのか…？
仇殺さなくていいの…？
それに伊太八との決着は…？
ていうか当の伊太八自信も新しくデキた女とイチャイチャしてるし…。

まぁ本人達がそれでいいならそれでいいけど、ちと消化不良です。

仇討ちものでスカッとするクライマックスシーンが見たければ「あばれ街道」をオススメします。

でも眼帯姿の三國連太郎がえらいキマっててカッコよかったから+1点。