catman

バッジ373のcatmanのレビュー・感想・評価

バッジ373(1973年製作の映画)
4.0
ネタバレ気味です。

1973年公開。1971年のド傑作『フレンチ・コネクション』の主人公ポパイのモデルとなった刑事の実話を元にしたクライムサスペンスで、主演はロバート・デュバル。し、渋い... 彼が演じるハミ出し警官エディ・ライアンは露骨な差別主義者で、ニューヨーカー特有の口が悪い独善的な暴走野郎という観客の感情移入をハナから期待しない可愛げの無いキャラクター。イイですね〜。冒頭でチンピラを捕まえて言う「こいつをペニス法違反で連れて行け」ってセリフが最高です。ハリー・キャラハンとおそろのグレーのヘリンボーンジャケットがイカス。

物語は実話ベースとはいえ、かなりハチャメチャな展開。お約束の "暫くお前の拳銃とバッヂを預かるぞ" から始まって、最後まで警官に復帰する事なく元相棒を殺された私怨を動機に無謀な復讐にひた走るので、もはやこれをコップムービーと呼んでいいのかも分からない(笑) そもそも停職中にあんな無茶苦茶やっていいのか?エディが路線バスをジャックして何の躊躇いもなく乗客を巻き込みながら夜の市街地でカーチェイスを繰り広げるシーンなんか超ファンキー。重傷を負ったエディがガールフレンドと田舎に引きこもるメロドラマパートは、中弛みと言えなくもないけど妙なぬくもりがあって味わい深い。この熟年女優がまたなかなか魅力的なんだなあ。マックイーン&ジャクリーンビセット(ブリット)みたいな美男美女じゃないから余計にグッと来る。ここで流れるレイドバック&メロウな劇伴もステキ。左手一本で射撃訓練するシーンもイイ!

決して質の高い映画とは言えないけれど、この時代の犯罪映画ならではのザラザラとした肌触りの魅力があって私の様な好事家であればかなり楽しめるはず。撮影も全般的に良かったと思う。マンハッタンブリッジ?を走る車を空撮で捉えるショットが良いんだよな〜。音楽も、パーカッションが効いたJ.J.ジャクソンの軽めの70s的ジャズファンクが本作のB級テイストをより高めていて味わい深し。サントラ欲しい。あとサルサ界の重鎮ジョニー・パチェーコのバンドが冒頭のクラブシーンで出演している点もマニアには見逃せないポイント!
catman

catman