今となってはこれが旧劇の正史…なのかな。カヲルの喪失を機にシンジが完全に役割を投げ出したTV版よりは間違いなくより深いものが見える。
考察させる側面が強いだけに、殆どが最終話を念頭に置いた感想になってしまうけど…
特にこの最終2話は気持ち悪いものを「気持ち悪い」と嫌悪させる演出が巧すぎた。
異形のものがどんどん肥大化していって、襲いかかるというよか「侵食」していく。OPの伏線をさらいつつね。
「甘き死よ、来たれ」の悪夢は一生離れない…曲単体の良さも含めて。
「悪夢」といえば、実写パートを挿入するトリッキーさもまた、そう思うこともできなくもない。
TV版では全く真逆の言葉で〆ているだけあって、最後のアスカの台詞は本当に痺れた。
軽蔑をしている時点で、他者の存在を受け容れているんだ。
旧劇全体としては「人間関係ってややこしくてイカれてるけど最高だよな!」って話だと解釈しますた。
そういう話なのにも関わらずチャーミングであって多くの人々に支持されているのは、ひとえにガジェットとキャラクター、そして庵野秀明が仕掛ける演出の賜物。
だからさ、いくらキャラクターに思い入れがある人々がこの世にゴマンといようと、庵野さんに好き勝手やらせてあげるべきなんだよ。
僕らは彼が仕掛ける「人類補完計画」に知らぬ間に付き合わされる、「いち市民」でしかないのだから。