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マルホランド・ドライブのAKのレビュー・感想・評価

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
4.6
英国メディアBBCが「21世紀最高の映画100」を発表したのは記憶に新しい。

ポール・トーマス・アンダーソン『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、宮﨑駿『千と千尋の神隠し』、ウォン・カーウァイ『花様年華』という、超のつく大傑作たちを抑えて一位に選ばれたのは、リンチの『マルホランド・ドライブ』だった。

その選定理由をBBCは以下の記事で語っている。
http://www.bbc.com/culture/story/20160822-why-mulholland-drive-is-the-greatest-film-since-2000?ocid=ww.social.link.twitter

簡単に要約すれば

① 『ツイン・ピークス』でリンチがテレビと映画の境界を飛び越えた革命の、その線上にあること
② 映画の映画、つまりメタ映画であり、かつそれを映画産業それ自体へのメタコメンタリーにまでしていること(『サンセット大通り』と『市民ケーン』という20世紀最高の映画の遺産であるという指摘)
③ シュールレアリスティックとも無意識ともいえる筆致とミステリーが②のテーマと結びつき、唯一無二の映画世界となっていること

以上が大きな理由であろうか。僕としても概ね納得できる。10年ぶりに再見したが、死ぬほど面白かった。ではなぜ星5つではないのか?と尋ねられると、その理由もまた①②③だから、と言うしかない。もちろん、めちゃくちゃおもしろいから星4.6なのだが、この星を5にするために、①②③の知的営為が必要とされる。

①②③があわされば本作が一位に俺もなんの異論もないんだけど、映画館での鑑賞体験で言えば、やっぱりPTAが一位かなーと思う。

あともう一つの理由としては、マルホランド・ドライブだけを特権化したくない。その後に撮られた『インランド・エンパイア』も、現在の『ツイン・ピークス the Return』も、めちゃくちゃ面白いから、総括されてしまうことへのちょっとした拒否感がある。

以上、リンチ信者からの戯言でした。初めて観る人は一切のネタバレを排するように。どうせ観直すことになるんだから。
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