如月カルラ

星の旅人たちの如月カルラのレビュー・感想・評価

星の旅人たち(2010年製作の映画)
4.5
世界を旅していた息子が、巡礼の旅の途中で亡くなった。
遺体を迎えに行った主人公が、息子の意思を継ぎ巡礼の旅をする話。

年配の主人公が、旅の途中で出会った人と一緒にただ巡礼の道を歩くだけ。
その中で一期一会の出会いもあれば、なんとなく一緒に歩くようになった人もいて、最終的に主人公と3人とが最終地を目指していく。
それぞれ巡礼の目的はありつつ、最初は距離のあった4人が段々と打ち解けていき、頑固だったトムの心もほぐれていく。

巡礼の旅は自分のためのもの。
そう伝えられて旅を始めたトムは、旅の中で何を見つけられたのか。旅の先々で息子の影を見ていたトムはきっと息子との間にできてしまった溝をこの旅で埋めることができたのかなと思う。
遺灰を通る道すがら撒き、最後海に全て帰して、物理的に持ち帰るものはなくなったかもしれないけど、でも息子の想いは持ち帰ることができたんだろうなぁ。

大きな山場が多くあるわけではなく、旅の道程を見守るだけ、美しい景色と人とのやりとりを見守るだけなのに胸に残る映画。
息子の名前で巡礼を終えたトムだけど、次は本当に自分のためだけに歩くんだろう。その時には何を得るんだろうか。
心が穏やかになる優しい映画だった。
如月カルラ

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