cigarette

汚れた血のcigaretteのレビュー・感想・評価

汚れた血(1986年製作の映画)
3.5
カラックス監督が26歳だった頃の作品。

[大まかなあらすじ]
路上でのカード賭博の僅かな金で暮らすアレックスは、亡き父が関与していた闇組織に、その手先の器用さを買われ、製薬会社が開発した新薬を金庫から盗み出す計画に加わる事になる。
そしてアレックスは、父を殺したとされる組織にも命を狙われるようになってしまい……

↑ ↑ ↑
という、犯罪のストーリーは、置いておいて、映画の分類的には、実はこれ、恋愛映画なのです。
映画公開当時は、AIDSの恐怖が世界的に広まってた時だからか、比喩するかのような難病が、この映画にもバックボーンで出てきます、愛の無いセックスをしたら発症する死をもたらす奇病です。

主人公アレックスは、依存&束縛が激しい彼女に対し、一緒にいたら自分も彼女もダメになる…と感じ、彼女との別れを決断。自分は闇組織に加入します。
そんな矢先、すぐさま、バスで見かけたチャーミングな女性アンナに一目惚れしてしまうアレックスなのですがw
そのアンナは、実は同じ闇組織仲間のおっさんの本命彼女でありました。
アレックスくん、略奪愛とか、そんな深いことまではあまり考えてなくて、好きなものは好きなんだもん!とばかりに、スキスキアピールをし、アンナが自分へなびいてくれることを、そっと願っている状況。

一方で、少し自立できてきた元カノを、いざって時に頼ってみたりするし、なんとも優柔不断なことを無自覚にやってしまうアレックス。


そんな感じで、恋愛映画とは謳っていても、いまいち 良くわからずなストーリーですが、奇病設定を考えると、愛するって、一体どういうことなのか?という、哲学やら深層心理みたいなことまで発展しそうな問題も絡んでいます。

演出面は、映像が実験的で監督の趣味全開な作り。
女優さんが2人とも、めちゃくちゃキュートで、衣装もカメラアングルも魅力的に彼女たちを彩ります。
監督の彼女達に対しての、熱の入れ方が凄い(実際、女優のピノシュと付き合ってたようですし)。

個人的に、主人公の役者さんのお顔がタイプではないのですが、彼、身体能力はすごいですね。
街中を長尺で、はしりまわりながら踊る(?)シーンは、めちゃ、疾走感ある印象深いシーンに仕上がってます。

傑作や名作というよりも、若く才能ある監督のパワーてんこ盛りな特殊映画と評すのが、私的にはしっくりきます。
cigarette

cigarette