橋本忍の森羅万象(特に琵琶湖)への想いやら怨念やらが強すぎだし、そういうのを取捨選択せず片っ端から詰め込んでるので異様に長くてくどい。
他者には理解不能な脳内世界でも、あの執拗なマラソンシーンのような映像の強度でもって突っ走れば、ある種の一本筋が通って見応えある物になると思う。(実際、最後のマラソンの限界突破ぶりは面白すぎて笑える)
なのに、まわりくどい台詞や回想回顧を挟んでいちいち世界観を説明しようとする。変なところで理屈っぽいというか、脚本家としての理性が邪魔してる。愛犬との出会いとか数枚のイメージを30秒間ぐらいでフラッシュバックさせればいいだけやん。映像を信頼できない、観客の想像力に委ねられないあたりが脚本家監督の限界を露呈してる。
いつか宮崎駿が別の作品に対して言った「気持ちで映画を作っちゃいけない」の意味は、本作を観ればうんざりするほど分かる。