アトミ

幻の湖のアトミのレビュー・感想・評価

幻の湖(1982年製作の映画)
4.0
80点

滋賀県雄琴のソープ嬢の道子。
源氏名は「お市(信長の妹)」。戦国時代風コスプレ(日本髪、スケスケ着物)。お店の内装も戦国時代風。
真面目でガンガン働き貯金もたんまり持ってる。
彼女は愛犬シロとジョギングするのが日課でとりあえずめちゃくちゃマラソンが得意。
ずっと走ってる。
そして、時折ジョギング中に聴こえてくる笛の音。その笛を奏でる謎の人物に出会う(ちょっと運命を感じてる)。
すぐに東京に戻る笛男と名前も聞かないまま別れ、次会えるのを心待ちにする。

そんな中、シロが包丁で殺されてしまう。
なんやかんやで犯人は東京の作曲家「日夏」という男とわかったが、顔がわからない。
事務所まで乗り込むが嘘をつかれ門前払い。
困った道子はかつてのソープ嬢同僚のローザ(実はアメリカのスパイだから色々と詳しい)に頼み、日夏の写真、住所とジョギングが趣味であることを調べ上げてもらう。

道子は誓う「マラソンで倒れるまで走らせてやる」と。
はい。もうよく分からん復讐方法。
アメリカスパイがソープ嬢やってるってのも訳分からんが、そもそも道子がソープ嬢なのもよく分からん。

まぁそれは置いといて、
日夏がジョギングに出てきた所から道子はある程度の距離を保ち後ろを走って尾行するんだが、日夏はスゴすぎる程マラソンがめちゃくちゃ得意だったために道子が置いてかれるはめに(都会の汚れた空気に調子が出なかった)。
とりあえず、復讐「マラソンで倒れるまで走らせてやる作戦」は失敗する。

そんなこんなで諦め、雄琴に帰って来た道子は、知り合いの銀行員と婚約。明るさを取り戻す。

そして謎の笛吹男「長尾」にもまた出会う。
揺れ動く恋心。
長尾に笛と滋賀に纏わる戦国時代「お市と侍女みつ」の悲しい話を聞く。
ここからの戦国時代回想シーンが本格的に30分程始まる。
マジかよ。回想シーンだろ?てなる。
回想シーンにめちゃくちゃ金かかってる。スゴい。

とりあえず長尾は史実に登場する「お市と侍女みつ」の鎮魂の意味も含め笛を奏でていた。
ここでやっと「お市」「戦国時代」が繋がり、そして「不条理に大切なものを奪われる」という部分も道子と繋がる。

そして長尾は、近日「ある目的の為」に宇宙へと旅立つ。
もう設定も宇宙までぶっ飛んでる。

そんなこんなで、結婚を控えている道子はソープ嬢を辞めるつもりでいたが、「お市と侍女みつ伝説」を作品のネタにしようと日夏が雄琴へ、そして偶然来店し、道子の客となる。
しかしすんごい偶然。
道子がソープ嬢である設定理由はコレと「お市」とのリンクの為か?

まぁとりあえず、チャンス到来。
道子はシロを殺害した凶器である包丁を握りしめ日夏を襲う。
日夏は店を飛び出し逃げる。追う道子。

はい。二度目のマラソン大会始まりました。
ここからは選手の駆け引きをお楽しみ下さい。

そしてクライマックス!
マラソンレースの行方は?
そして宇宙へと上がった長尾の「目的」とは?

乞うご期待!


てなお話。
とりあえず設定はぶっ飛んでるんだが、一応の着地はしてるので、変に腑に落ちるというか何と言うか。
あの「橋本忍」だぜ?もしかしたらめちゃくちゃ深い作品な気がしてならない(長尾の目的も哲学的ではあるし)。
しかしシュールにしか見えないという何とも言えない味わい。
その「癖」が「癖になる」ね。

約160分。長いわりには普通に観れちゃったわ。
しかも結構金かかってるねコレは。いわゆる超大作に間違いない。


PS
シロが殺された時はマジで可哀想だった。
シロの面影を追ってマラソンする道子にも泣けてくる。

PPS
俳優陣もすまして豪華。
ソープ嬢かたせ梨乃もチョイ役の癖にスゴい存在感。
アトミ

アトミ