ShinMakita

リバティ・バランスを射った男のShinMakitaのレビュー・感想・評価

2.5
☆「ベルファスト」公開記念・過去レビュー再録



西部の町、シンボーン。一部の牧畜業者に牛耳られた貧しいこの町に、理想に燃えた若き弁護士ランス・ストッダードがやってくる。到着早々、牧畜業者に雇われたならず者、リバティ・バランスに襲われたランスは、町で我が物顔で暴れるバランスに法の裁きを受けさせることを決意する。しかしランスを救った食堂屋の娘ハリーとその恋人であるカウボーイ、トム・ドニファンは、「西部の法は、銃だ。自分の身は自分で守るしかないのさ」とランスの主張を一蹴する。

その後、ハリーの店で皿洗いしながら、優秀な頭脳を生かして学校を開くようになったランス。次第にハリーはランスに惹かれていくが、トムはそれを知りつつ、未だハリーに求婚出来ずにいた。やがてシンボーン一帯の土地を準州から州へ格上げする気運が高まり、ランスが代議員に選出される。町を仕切ることが出来なくなるバランスは激怒し、ランスに難癖をつけ、決闘を申し込んでくる。暴力はからきしダメなランスは、住人らの勧めに従い町を出ようとするが、親友のピーボディがバランスにリンチに遭ったことを知り、銃をとってバランスとの決闘に臨んでいく。

名うてのガンマン、リバティ・バランス対、正義感だけのモヤシ男ランス・ストッダード・・・誰もがランスの死を予想したが、結果、ランスの銃弾がバランスを撃ち倒し、彼の勝利に終わるのだった。

そして代議員として政界に出たランス。さらにワシントン行きの上院議員選出の場で、対立候補に「一市民を無慈悲に射殺した男」と非難され、決闘に勝利したことを後悔、政界から身を引く決意をする。しかしそこにトムが現れ、あの決闘の「真実」を語るのだった・・・



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1962年の作品。一般的な西部劇が下火になった頃の映画です。銃が法律だった時代の終焉を描きながらも、フォード監督特有の「故郷讃歌」色が濃い物語。トムを演じたジョン・ウェインの情けなさ(ハリーをランスに取られ、自棄になって自宅に放火!)は、西部劇そのものの終わりを告げるシーンだった気がします。

…「ベルファスト」では、バディが夢中になるTVの映画劇場に登場。暴力で解決することしか知らないビリーと穏健派のパパをウェインとスチュワートになぞらえて見られるし、町が時代・環境の激変期を迎えるという意味でリンク度の高い作品。ベルファスト鑑賞前に、ぜひ。
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