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心中天網島のlagのレビュー・感想・評価

心中天網島(1969年製作の映画)
4.0
頭から足までこの世は金。垂らしたぶらかすが仕事。人ひとり殺すのは後で取り返せないがその先まで考えてない。肌身離さず持った手紙。同士の義理。これが務め。今は言えないが黙って通してくれ。連れ去られて他人になった。俗世の髪をちぎる。

鐘が鳴り響いている。真白い床と壁には絵画。灯りを吹き消すと時が凍る。準備片付けをして佇む黒子と追ってくる影が手招く河原。進行する語り。篠田と富岡が電話している。武満徹の弦楽。助監督のひとりは小栗康平。尽くす妻と騙す女郎の風向きは変わる。まぶたが広くて目をひん剥くと鬼の形相な小松方正と頑固で融通の効かない加藤嘉。周りが見えなくて情けない。幼子をふたり残して勝手に死ぬ。薄気味悪くどっちが痛いでしょうか。泣くほど思い詰めて汲んで飲む。せえので後ろ向きに身を投げる寸前に。
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