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パリ空港の人々のkojikojiのレビュー・感想・評価

パリ空港の人々(1993年製作の映画)
3.5
1993年 フランス映画 監督はフィリップ・リオレ。
 この作品は監督デビュー作。ジャケがこの作品のイメージをよく表していて、なかなかいい。こんな作品だ。

 監督はこの後、「マドモアゼル」(2001)「灯台守の恋」(2004)を撮っている。この映画は恋愛映画でないこともあるかもしれないが、これらの作品とは少し感じが違う。「初期作品」という事で潜入感もあるかもしれないが、初々しい作品という感じだ。

 主人公の学者のアルチェロは、寝てる間にパスポート等を盗まれてしまいフランスに入国することが出来ない。
 彼はフランスとカナダの二重国籍で妻の国籍など複雑な状況も災いして、確認が取れるまでトランジット・ゾーンから出られなくなってしまう。
 空港内を彷徨う内にさまざまな理由で彼と同じように空港内に留まざるを得ない人と出会う。

 父親の迎えを待つ黒人少年ゾラ。
 国外追放となり国籍を剥奪されたラテン・アメリカ系の女性アンジェラ。
 虚言癖の自称元軍人のセルジュ。
 そしてどこの国の言語か分からない言葉を話す黒人の通称ナックだ。

 この映画は彼とこれらの人々との温かい心の交流を描いている。

 一方で、空港の職員が何かといえば「長椅子で待て」を繰り返すシーンあり、こんな人達に対する国の対応を当然批判しているのだろう。
 
 皆さんのレビューにあるようにストーリーはトム・ハンクスの「ターミナル」の原点のようだ。
 ただし、彼はトム・ハンクスのように何ヶ月も留まっているわけではない。ほんの数日の出来事を描いた小品だ。それがリオレ監督作品らしくていい。

 最後、妻が行き違いになって空港から出れなくなってしまう。映画はそれで終わってしまうので、どうなるんだろうと気になったままだ。

2022.12.06視聴-535
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