パリ空港の人々の作品情報・感想・評価

「パリ空港の人々」に投稿された感想・評価

原題は Tombés du ciel で「空から落ちた人々」🛩
トランジットとは、「一時寄港」を意味する。審査を受けて出国し、次の国に審査を受けて入国するまでがトランジットゾーン。(だから飛行機の中も含まれる)言わば無国籍地帯である。出国・入国するためには、自分の身分を証明するもの、すなわちパスポートがなければならない。

図像学者アルチュロは、パスポートを盗まれたために身分証明ができずフランスに入国することができなくなってしまう。年末のため確認がなかなか取れず、空港内で過ごすはめになる。しかしそこには様々な理由で空港に足留めされたままの人々が(住んで)いた……彼らは奇妙な共同生活を営み、そこには一定の秩序と落ち着きさえあった。最初は一刻も早くこの状況から逃れたいと思っていたアルチュロだが、彼らと話していくうちに心を通わせるようになっていく。

この空港内に住む人々がとても不思議。中にはすでに死語とされている言語を話すエチオピアの男がいたりする。そして彼らはもはや自分の状況を変えることはあきらめているようで、だからなのか彼らはおとぎ話の世界に住んでいるようにも見えた。
とはいえ大晦日のパリで望郷の思いにかられる彼らには胸が詰まった。

ジャン・ロシュフォールが味わい深くてすごく良かった。すてきだった。

自分の存在証明とは何だろう?国籍とは何だろう?
最後にゾラが一歩を踏み出したことで他の住人にも影響があるだろうか?
kny

knyの感想・評価

3.8
ターミナルみたいな
ラスト付近での奥さんちょいざまーみろ的な
無国籍地帯
いろんな理由でパリ空港で入国出来ず生活している人たち。
切ない‥
コソッと抜け出し束の間のパリ‥
観終わった後も余韻が残ります。
sonozy

sonozyの感想・評価

4.0
1993年、フィリップ・リオレ監督。
以前から題名とこのジャケットが気になってました。

年末。カナダ・モントリオールの空港で搭乗直前に居眠りしている間に、搭乗券以外の所持品と靴まで盗まれてしまい、その状態のまま搭乗し、妻の待つパリ=シャルル・ド・ゴール空港に到着したアルチェロ(ジャン・ロシュフォール)。

パスポートも盗まれ、身分を証明するものは何一つなく、空港に足止めされてしまうアルチェロ。
窓ごしに会えた妻は呆れつつ空港併設の小さなホテルでやむなく夫が出てくるのを待つことに。

アルチェロは、妻に買ってきたプレゼントの箱ひとつ抱えたままベンチで一晩を明かそうとすると、一人の少年が近づいてくる。
彼の後を付いていくと、入口に寝込んで起きない警備員が座る(笑)部屋があり、3人の男女が、それぞれの事情で長期間空港で足止めされたままそこで暮らしていた。

ゾラという名の少年は、母はアフリカにおり、迎えに来るはずの父を待っている。
ゾラの親代わりになっている、コロンビアで国外通報された美しい女性アンジェラと、各国でコマンド部隊として戦った回顧録を書いているという男セルジュ。
そして、セルジュいわくジャワ島生まれだという、何語か分からない言葉を話し、ほぼ睡眠を取らず、ハンダ付けをしたりしている男。

翌日以降も空港から出れないアルチェロと、彼ら4人との不思議な共同生活が始まる。

テーマも状況設定も違いますが『万引き家族』同様、"行き場を失った人たち(この社会にいないことにされてしまった人たち)"の心の交流。
可笑しさとせつなさと心温まる展開が良かったです。

アルチェロ役のジャン・ロシュフォールさんは、『髪結いの亭主』『列車に乗った男』などに出ていますが、何とも味わい深い名優ですね。
この場合は入国審査ではじかれたときだけれども、壁にぶつかったとき、ユーモアってその状況を楽しむための逃げ道を提供してくれる気がする。負けを楽しむ勝利。それはある意味、最強という言葉にも結びついていきそうだな。そしてまた、勝ちに苦しむ敗北ていうのもありそうだから怖い。
yusuke0516

yusuke0516の感想・評価

4.3
国と国のスキマとか国籍と国籍のスキマとか関係者と部外者のスキマとか空港っていう中でのスキマ的な空間とか
ハル

ハルの感想・評価

3.8
トム・ハンクスが出ていた映画に、「ターミナル」という、祖国が戦争状態となり空港から出られなくなった男の話があった。

こちらの作品も似たような話で、「ターミナル」より以前にフランス人の監督によって撮られている。

図像学者のアルチュロは、パスポートを盗まれ国籍不明の扱いとなり、パリ空港のトランジットエリアにとどまらねばならなくなった。そこには、彼と同じように、何らかの事情で足止めを食わされた人々がいて奇妙なコミュニティを形成していた。この物語は、そうした、言わば、「存在しないと見なされた人々」によって織り成される、ハートフルコメディである。

主人公の図像学者を演じるのは、「髪結いの亭主」のジャン・ロシュフォールである。空港で足止めを食わされ最初は戸惑っていた彼が次第に人々と交流を深めていくのにはほっこりさせられた。とりわけ、ラストの夜のセーヌ川のシーンはいつまでも印象に残って消えない。
こころ

こころの感想・評価

4.1
あらゆる人があらゆる目的へ行くために通過する結節点としての空港には、様々な時間の流れが併存していて、地理的にみればある一つの国に属していようとも、そこはどこにも属さない、切り離された、浮遊しているような場として存在する。
そこを舞台に、出会うことのなかった人々が少しだけ時間を共にし、ほんのちょっとだけ影響を与えあい、またそれぞれの流れへと戻っていく、劇的ではないけれど豊かな変化に富んだよい作品でした。
Chisato

Chisatoの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

盗難被害に遭って入国できない男がシャルル・ド・ゴール空港で過ごした二日間を描いた話。
作中には無国籍、不法滞在、お尋ね者、父親を探す子供など訳あってトランジット状態の人々が登場する。どこの国でもない特別な空間で自分が何者なのか証明できずにいる人々の姿から空港が華やかな場所だけではないという事を強く感じる。
この話は実際にモデルになった男性が存在し、トム・ハンクスの『ターミナル』でもモデルとなっている。モデルが同じでも空港という場所、空港の人、物語の展開の描かれ方が全く違う。ハリウッド映画とフランス映画の比較ができるのも面白かった。
シャルル・ド・ゴール空港を抜け出して憧れのパリの街を見に行く場面では、パリを褒めちぎるのではなく、皆が自分の国がやっぱり良いやと考え直すところが好きだった。
エイジ

エイジの感想・評価

3.7
(空港から出れない)人たちの話。

簡単に抜け出して
パリの夜景とか観てしまう人たち。

そんな、だけど(空港から出れない)人たち。


国籍ってなんやろな。

考えさせられるけど
ほのぼのともする話。

ロシュフォール、相変わらず良い味だしてます👍
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