ほおづき

17歳のカルテのほおづきのレビュー・感想・評価

17歳のカルテ(1999年製作の映画)
4.0
『クワイエットルームにようこそ』になんとなく似てる作品。
主人公が物書きなこととか、隔離病棟に収容される理由とか、舞台が女性隔離病棟だということとか。
こちらの方がぜんぜん先だけど。

そして、同じように自分と向き合うことで病気を克服していくおはなし。
この物語では、本当の死に直面することで、いままで漠然と中二病的にとらえていた”死”という概念から解放されていくんだけど、そういえば『シンエヴァ』の主人公も他人の死を受け入れることで成長していて、それっぽいなってちょっと思った。

物語のテーマは、作中にも出てきていた「アンビバレント」な感情っていうのかなぁ。
各登場人物それぞれに、理想の自分と現実の自分の狭間でもがいている姿が描かれていて、さらにその表面の姿も本音を探れば違っていたっていうような、表と裏、境界を隔てた二つのことがらが描かれていたように思う。
主人公が境界性パーソナリティー障害を患っているっていうのもあるし。

人は、相反する二つの感情に押しつぶされて精神を病んでしまうということを描いていたのかもしれない。

あと、この作品でもやっぱり病棟内の人間と外の人間とで、どちらが正常なのかわからないような演出があった。
主人公よりも母親のほうが精神的に危うい匂いがするが、病院の外で生活している。


主人公18歳じゃないの?って思いながら観てたけど、この映画の公開当時「キレる17歳」って言葉が流行っていたかららしい。そういう理由でも邦題ってつけられるんだなぁって思った。