ししまる

グラン・トリノのししまるのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.4
◼️概要
クリント・イーストウッド監督、主演による2008年のドラマ。主人公はフォードの工場で長年働いた頑固な老人ウォルト。隣人でアジア系移民モン族の少年タオがウォルトの愛車グラン・トリノを盗もうとしたことをきっかけに、タオやその家族と交流を始める。
◼️感想
ジャケ写から暗そうな作品だと勝手に思い込んで後回しにしてきたが、さすがイーストウッド。引き込まれていく。中盤までは取り留めのない日常の話だが、ウォルトのキャラが憎めない頑固ジジイで、先の展開がとても気になる。終盤はスリラーでもあり、胸くそなところもあるが、しんみりというか安堵というか、爽快でもある。
◼️メモ
脚本のニック・シェンクは1990年代初頭、ミネソタ州の工場で働いていた時にモン族の歴史と文化を知り、本作を書いた。当初案の舞台はミネソタ州ミネアポリスだったがミシガン州に変更された。
グラン・トリノはフォードの車種フォード・トリノのうち1972~76年に生産されたものを指す。
タオ役のビー・ヴァン、タオの姉役アーニー・ハーらは実際にモン族。
モン族は中国の雲貴高原、ベトナム、ラオス、タイの山岳地帯に居住。第一次インドシナ戦争、ベトナム戦争では仏、米は共産主義勢力と戦うため、ラオスのモン族を雇用。ラオスでの反共破壊工作は「ラオス秘密戦争」としてCIAが指揮し、モン族に銃の使い方や戦闘機の操縦を指導した。ベトナム戦争で米が敗れると、モン族は行き場を失い、ラオス共産政権による迫害やベトナム軍による掃討に遭った。数十万人のモン族がタイに逃げ、難民数千人は1970年代後半から米豪仏などに移住した。米ではミネアポリス周辺に集中している。
米映画でモン族に焦点を当てたのは本作が初めてで、劇中のモン族の文化的表現に対し、アメリカのモン族コミュニティでは不正確との指摘もある。
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