キミシマユウキ

グラン・トリノのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.1
朝鮮戦争帰還兵で口が悪い頑固ジジイのウォルトは妻に先立たれて家族とも上手く交流ができない。そんなとき隣の家に住むアジア系の青年タオと親しくなり…

ハリウッドを代表する名優であり、名監督の
!!クリントイーストウッド!!
による2008年のドラマ作品。
一応今作でイーストウッドは俳優業を引退宣言!(その後一作出演している模様)
映画好きを自称していながらイーストウッド巨匠の監督作をそこまで観ていなかったので代表作の一つを鑑賞。

なぜこうも…
なぜこんなにもイーストウッド監督作品は鑑賞後にズッシリと響くのだろう。
今作は超絶鬱展開の『ミリオンダラーベイビー』より個人的に好きだった。
興行、批評的にも大成功したにも関わらずなんの賞も受賞してないなんてもったいない!!
その年の『ベンジャミンバトン』に負けたとは…納得いかないなぁ(笑)

"赦し”



”暴力の非道さ”

を直球で訴えてくる。
実の息子にも愛想を疲れるほど頑固な老人がひょんなことから隣のアジア系家族と交流を持ち始め、心を開き始める。
初めは戦争帰りということもあり差別用語バリバリに彼らをバカにしていた老人の顔にもいつしか笑顔が見えてきて、映画の進行と共に視聴者もこの温かな関係をずっと観ていたくなる。
まぁそんな生温い内容に収まるはずもないのだが……
ほっこりドラマ部分だけでなく、チンピラギャングと対峙するときの緊張感溢れる空気は西部劇仕込みのイーストウッドはきっとお得意分やなのだろう!!息を止めていた!
その時に確実に流れるドラムロールは軍人だった主人公を強調するよう。


主演イーストウッドはさすが!!!!
退役超頑固軍人がここまでハマるおじいちゃんは彼しか考えられない!!
老いの中でも感じる鋭い眼光!銃を構えた時の威厳!!『夕陽のガンマン』などのマカロニウェスタンを勉強した後に見る彼は一味違うぜ!!そのまま銃を早撃ちしまくるところも少し見たかったのは内緒(笑)
優しさと厳しさを兼ね備えた最強の近所のおじいちゃんだと思った。
ただ、身内にいると大変そうなので結構です。
他のキャストは比較的知名度が低く(敢えてのキャスティングだとか)、特記すべきことはなかった。

イーストウッドらしい重厚で上質なヒューマンドラマ。
終盤の展開、あの選択は素晴らしかった。。。。

そして車に興味のない自分が視聴後にはグラントリノに乗りたくなりました。

イーストウッド好き、ヒューマンドラマ好き、そしてイーストウッド最後の主演&監督作を観たい方にはオススメの作品。