あるぱか

グラン・トリノのあるぱかのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.1
クリント・イーストウッドが監督、主演を務めてるということでみた。

妻に先立たれた古臭くて気難しい老人ウォルトが、隣人の朝鮮の民族の少年タオらの交流を通して人生が大きく変わっていく。

タイトルにもなっている'72年型グラン・トリノはこの映画においてウォルトの象徴であり、唯一の誇りとなっている。彼はこの車を丁寧に磨いて、ビールを片手に眺める。

「いつ見てもいい車だ」

ウォルトの至福な時間であろう(愛車を肴にビール何本飲むんだ…)。

僕にこの車の良さはあまりわからないが、ウォルトという男の人間性を通して、このグラン・トリノの男らしいかっこよさが伝わった。
男は自分の理想像を重ねて車を選ぶように思う。ウォルトはフォードで50年働きその想い入れをグラン・トリノにまでかけるほどである。それほど大事な車を、最後は息子ではなくタオに託す。二人の間にできた絆もグラン・トリノは象徴している。

ウォルトが隣人の交流の中でみせたユーモアと優しさが、普段の気難しい一面も相まって非常に印象的であった。タオが償いで働いていたその最終日、ウォルトは呼び止めてタオに言う。
「いや、なんでもない、行け」
きっとタオにありがとうと言いたかったのだろう。しかし素直じゃないウォルトは言えない。彼らと過ごした穏やかな日常はウォルトにとっては最高に幸せだったと思う。

物語の最後、ブチギレモードのウォルトの選択は実に男らしかった。静かに燃えたぎる炎をうちに秘め、一人で決着をつけに行くかっこよさといったら…!
彼の決着のつけ方と、最後のグラン・トリノが走りさっていくシーンのじんわりとした余韻がなんともクリント・イーストウッド監督らしかったように思う。
愛犬デイジーも素晴らしい演技!きゃわわ。
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