いろどり

日本暗殺秘録のいろどりのレビュー・感想・評価

日本暗殺秘録(1969年製作の映画)
3.5
こんなにバランスの悪い映画も珍しいと思う。暗殺事件のオムニバスのはずなのに、血盟団事件に100分使い、その他の暗殺事件は始めと終わりの20分に押し詰められていて違和感しかない。駆け足な二・二六事件や一瞬の高倉健など早すぎてこちらがついていけない。

五・一五事件につながる血盟団の話は面白かった。暗殺の先にある体制作りには興味がなく、自分達の意思を継ぐ者がいるだろう、という希望的観測のみで暗殺を実行してしまうところに、革命家とテロリストの違いが出ていたように思う。昔の映画特有の血のりをふんだんに使った暗殺シーンの数々はインパクトがあり、二・二六事件の首謀者たちが次々と銃殺されるところは一人一人の壮絶な死顔が印象的だった。

最後に出る「そして現代 暗殺を超える思想とは何か」に文章として強い違和感を覚えるけど、この作品では暗殺は行為ではなく思想として捉えていたのだなと感じた。思想の先に暗殺という手段があると思っているので、この問いかけは難しすぎる。
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