みおこし

クレイジー・ハートのみおこしのレビュー・感想・評価

クレイジー・ハート(2009年製作の映画)
3.5
ジェフ・ブリッジスが念願のアカデミー主演男優賞を獲得した1本。

かつて人気を博したカントリー・ミュージシャンのバッド・ブレイクは57歳となり、アルコールに溺れ、女性関係も結婚と離婚を繰り返す自堕落な生活を送っている。ある日、若い女性ジャーナリストのジーンが訪れる。女手一つで息バディを育てながら仕事に邁進するジーンとの出会いが、ブレイクの人生を変えていく。

プレイボーイの役からタフガイの役まで、若い頃からあらゆる役をこなしてきたジェフ。そんな彼が本作で体現するのは、初老を迎え、(常に女性や根強いファンには囲まれながらも)心の孤独との葛藤。ひとり酒を煽る姿、古株のファンたちの歓声を浴びて少し優越感に浸りながらもどこか寂しげな眼差し、そして若い頃と比べれば明らかに劣化したパフォーマンス...。どのシーンを切り取っても滲み出る哀愁が凄まじくて、彼の表現力の豊かさにただただ唸るばかりでした。同じくアカデミー助演女優賞にノミネートされたマギー・ギレンホールとの相性も抜群!
上記のように書くと老いることがネガティブな印象になってしまうかもしれませんが、本作は決してそうではなく、逆に歳を重ねて新しい発見をすることへの喜び、暗くなりかけた人生にあかりが灯る瞬間を後半では描いています。人生はちょっとしたきっかけで好転するし、いくつになってもトライができるという奇跡。
エモーショナルなエンディングにも思わずため息が出てしまいました。

後輩シンガー役を務めたコリン・ファレルも抑えた演技が素敵だった!
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