千年女優

エリックを探しての千年女優のレビュー・感想・評価

エリックを探して(2009年製作の映画)
3.5
世界に誇る地元のクラブ「マンU」を愛する中年郵便配達員で、二度の結婚に失敗して血の繋がらない息子二人も非行に走る等うだつの上がらない暮らしを送るエリック・ビショップ。ある日を境にふとした時に現れるようになった同じ名を持つ生涯のアイドル、カントナを支えにする彼が波乱万丈の日々を過ごす様を描いたコメディ映画です。

二度のパルムドール獲得等で世界的な評価を得るイギリス人監督のケン・ローチが、『麦の穂をゆらす風』で一度目のパルムドールを獲得した後に手掛けた2009年公開の作品で、クリロナとベッカムの前のマンUの背番号「7」でビッグマウスとダイナミックなプレーでファンを沸かせた元フランス代表を出演させて話題と高評価を集めました。

ケン・ローチらしい資本主義社会で虐げられる労働階級が主人公の物語ですが、スーパースターをイマジナリーフレンドとして登場させることで悲哀の展開に歯止めをかけてユーモアを演出します。お話としては些か突拍子のなさを感じる所はありますが、日の目を見ない暮らしの中で多くが抱く妄想を実現する、庶民の鬱憤を晴らす一作です。
千年女優

千年女優