ねぎおSTOPWAR

ダウン・バイ・ローのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)
4.0
ジム・ジャームッシュ監督3作目。

相変わらず登場する人物の辞書に『計画』や『努力』って言葉はないようです。笑

「えっ(オッサンになった)今ジャームッシュ??笑」
と言った友達の言い分もわかる。
若い時ってこういった尾崎豊的(?)なというかピストルズのようなというかね、世が世ならニューシネマだしね、カッコいいんですよね。
・・・確かに50過ぎて観ると冷静に観ちゃう!笑
でもラストの2つのショットは超カッコいい!!いくつになっても!
名シーンだと思います。


今回の主人公はミュージシャン:トム・ウェイツ!
思えば前作でも出演しているのはミュージシャン、ジョン・ルーリー。また出ています!ジム・ジャームッシュ監督自身音楽やっていたんですよね。
トム・ウェイツは一度もいいと思ったことがないミュージシャンなんですが、演技は上手ですね。

そしてアカデミー授賞式で興奮してイタリア語でまくしたてた(英語しゃべってても聞き取れない!)ロベルト・ベニーニも出演。コメディアン一人いるとこんなに面白いアクセントになる!

無実の罪で収監されるザック(トム・ウェイツ)とジャック(ジョン・ルーリー)。そこにロベルト(ロベルト・ベニーニ)が入ってくる。人殺しのエピソードは彼のアドリブだそうです!
この三人の脱走・逃亡劇。
ニューシネマの定義にあてはまる作品。

とある評論家先生によると、『「ストレンジャー・ザン・パラダイス」には、今作「ダウンバイロー」にはないリズム感がある』という。
たぶん、前作のワンショット→黒味→ワンショット→黒味・・のことをリズムと言っていると思われる。その意味で「ダウンバイロー」は牢獄の中であるとか、いくつかのシーンは不規則に長い。それがこの方に言わせると「リズム感の欠如」になるらしい。
・・人によっていろいろである。

2週間という期間で書き上げた脚本とは思えない展開。
この3人のキャスティングが終わった段階で成功したと言えるんじゃないでしょうか。ゆったりとした弛緩と緊張の効いた友情物語。

ちなみに最後出てくる彼女ニコレッタ(ニコレッタ・ブラスキ)はロベルト・ベニーニの奥さんで(この時はまだ結婚していない)、このあと「ライフ・イズ・ビューティフル」でも夫婦役で共演!



《映像のこと》
逃亡中の彼らを川に浮かべた舟からの横ドリー。冒頭の真横位置からの街中横ドリー映像、とにかくベッドと寝ている人物が映し出されます。やっぱり監督、これが好きなんでしょうね。

今作、ジムジャームッシュ監督、編集には手を出していない。
これは過去作と大きく違った肌触りの原因かと思います。圧倒的にテンポ感がいい!・・とは言えこの監督っぽいですがね。

撮影においても画面の前後に人物を置いて片方にピンを合わせもう片方をボカすやり方は今作複数回やっています。会話シーンも切り返している!