となりの

機動警察パトレイバー2 the Movieのとなりののレビュー・感想・評価

5.0
とても素晴らしい。傑作。

アニメでできることを突き詰めているように思う。
まずもって、キャラデザのデフォルメ具合が、フィクションとリアリズムの塩梅を示している。これが実写だと、これほどの説得力はないだろう。

戦後日本における戦争状態の実現、このテーゼをめぐって政治ドラマが展開されるのだが、要所要所でのディテールの積み重ねによる求心力がある。
情報戦から戦争への移行は実態が伴わない。そうした戦時下を描いたことが本作のすごいところでもあるし、それはそもそもアニメで戦争を描くという表象の問題を自覚的に提示しているようでもある。
ただ、おそらく荒川を通じて押井守の政治思想の内実は開陳されている。
(では、それに対しての後藤隊長の構えというものは果たして?)

とはいえ、そうした筋書きも、元二課を集合させて「戦争」に送るためのお膳立てと言えばそれまでではある。
つまり、パトレイバーというシリーズでやれるギリギリの内容だろう。
そうして、攻殻に行くのかというのは納得する。

あれこれあるが、アニメーションがとにかくすごい。光の当たり方、影の付け方など、今はもう作られない画ばかりだ。
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