だびー

機動警察パトレイバー2 the Movieのだびーのレビュー・感想・評価

4.8
中盤に出てくる「戦争と平和」についての荒川と後藤のやりとりが、この映画の本質を表しているように思う。日本が謳歌してきた戦後の「平和」と、その裏に潜む欺瞞。

約20年前に作られた映画であるにも関わらず、この指摘は今なお、いや、おそらく当時よりも今の方が切実な問題として私達の胸を抉る。柘植の起こしたテロはひょっとしたら現実に起こっていた可能性もあるし、今の日本の政治状況を見るに、実はもう既に別の形でこの社会に現れていたのかもしれない。

しかしそれでも、その「平和」が幻であっても、「不正義の平和」であっても、それは守られるべきものなのだという後藤や南雲の主張は、私の心をとらえて離さない。人間というのは、たとえ矛盾を抱えていたとしても、その矛盾を抱えたまま前に進むべきものなのだろう。
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