アトミ

浮草物語のアトミのネタバレレビュー・内容・結末

浮草物語(1934年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

60点

田舎の芝居小屋(大黒座)に市川喜八一座がやって来た。

この土地は座長喜八にとって特別な場所。
小料理屋「鳥屋」の女将おツネ。そして2人の間に産まれた子、信吉が住んでいる。
その話は妻のおタカも知らなかった。

久しぶりに大黒座に喜八一座ののぼりが上がり、町は盛り上がる。
喜八はこっそりおツネに会いに行く。
信吉は農学校を卒業し今は補習科へ通っていた。
そこに信吉が帰って来た。立派な青年になっていた。
信吉は父親は早くに死んだと思っている。
喜八もこんなヤクザな親父は無い方が良いと考えてた。
信吉は「旅役者のおじさん」を釣りに誘う。
親子水入らず。喜八は幸せな時間を過ごす(財布を流してしまうが)。
信吉は旅一座に興味を持っていた(夏休みならついて行きたいほど)が、喜八はそんな事よりも勉強の方が大切だと言って聞かせる。

芝居小屋は大入り。大盛況。
しかし土砂降り。芝居小屋のあちこちから雨漏りで芝居中断。
2日目も雨。座員らは稼ぎにもならないが、喜八は毎日鳥屋に入り浸っていた。
座員の一人がその「秘密」をポロリしてしまいおタカの耳に入ってしまう。

鳥屋におタカとおトキ(娘役座員)がやって来る。
おタカ「親方が毎日毎日世話になってすみませんね」
喜八「何しに来た!帰れ帰れ!」
はい。修羅場です。
とりあえず芝居小屋に戻り、喜八逆ギレ。
おタカを殴った挙句「息子に会いに行って何が悪い!出しゃばるな!息子とお前とじゃ人種が違うんだ!」と。

おタカは10円をちらつかせ、おトキに信吉を誘惑させる。まんまと引っかかる信吉。
しかしデートを重ねるうちにおトキも信吉を愛してしまう。
が、旅役者コンプレックス(浮草稼業)がおトキに歯止めをかけていた。

ある夜。そんな2人を喜八が見つける。

喜八は激怒して、おトキを殴り、訳を聞く。
きっかけはおタカの策だった事をバラシてしまう。
次はおタカを呼びつけ訳を聞く。
おタカ「あんたに似て立派な息子。旅芸人を情婦に持ってさ」
ブチ切れ喜八はおタカを数発グーで殴る。

おトキは外へ出ていく。
喜八は鳥屋へ向かったが、既におトキは信吉を連れ出て行ってしまった。
喜八は自分を責めた。

これがきっかけとなり一座は解散。古道具屋に衣装ら全てを売り、退職金にする。
最後ぐらいはと、皆仲良く賑やかにお別れパーリー。

風呂敷一つ。鳥屋に厄介になりに喜八がやってきた。
おツネは願ったり叶ったり。これでやっと親子3人で暮らせると喜んだ。
そこに信吉とおトキが帰って来た。
喜八はおトキを殴りつける。
止めに入った信吉も殴る。
暴力が止まらない喜八を信吉は「やめろ!」と簡単に押し倒す。
それを見たおツネが「父親になんて事すんだい!」と。
20年も放ったらかしの父親なんかあるもんか!と怒る信吉。
学費を送ってくれていたこと。旅役者コンプレックス。訳を聞いてどうしていいかわからず2階へ上がってしまう信吉。

当然だ。やっぱりここにはいられないと、喜八はおトキの事をおツネに頼み、鳥屋を去った。

喜八は駅へ。
と、そこには最終列車を待つおタカがいた。
行くあてのないおタカに、また一緒に喜八一座を建て直さないか?と誘い、2人は上諏訪へ向かった。



というお話。
喜八が川で落とし、流れて行く財布。
「喜八そのもの(浮草)」といった所かな。

良いショットもたくさんある。
んだけどどうなんだろ。
イマイチグッと来ない。
暴力団喜八が撒いタネで自業自得は仕方ないとして、他の皆までが巻き添いで苦しんでしまっただけの話。
なのにみんな前向き過ぎて「?」ってなる。
まぁ「怒った所で仕方がない」んだけど、一番怒ってるのは喜八だしね。
ラストでまたおタカと全国ずっと交尾して回るのは確定だしね。

なるようにしかならないのが人生。
菩薩系おツネが偉い。
アトミ

アトミ