あんじょーら

時をかける少女のあんじょーらのレビュー・感想・評価

時をかける少女(2006年製作の映画)
3.5
主人公の真琴(まこと 仲 里依紗)は女子高生、医学部を目指す勉強もスポーツも出来る学級委員タイプの男友達の功介(こうすけ)、美形だが勉強は出来ないけど正義感がある男の千昭(ちあき)との3人でいつもキャッチボールをしています。ちょっと不思議な3人組ですが、とてもよい関係でいつも楽しい毎日を過ごしていたのだが、踏み切りでの自転車事故をきっかけにタイムリープ(もう1度時間を戻してやり直せる能力)を身につけ日常をやり直せるようになるのですが・・・


というのが冒頭です。ストーリィとしてもなかなかですし、芳山和子(前作「時をかける少女」の主人公)が出てくるのもよかったです。大林作品をもう1度見直してみたくなりました。ちゃんと男女の友情から恋愛関係を描いていて、もう少し突っ込んだ話しにしても良いかな?とは思うものの、そこをあえてしなかったところに、淡い期待を持たせ続けるチカラがある作品で良かったと思います。たしかにある一定の(ま、はっきり言うならオタク的2次元萌えな方々)の好ましい状況を崩さないとも言えますが、それはそれとして、ちゃんとその方々以外でも楽しめる完成度になっていると思いますし、正直全然知らなかった女優さんで主人公の声を当てている仲 里依紗が凄かったです。これは人気出るでしょうし、このあと実写版の主役をやられているのですね。見てみたくなるくらいかなり上手かったです、美人ですし(笑)。同じ監督さんの「サマーウォーズ」の声優さんと比べたら全然良いです!


なんというか、中学、高校生くらいの、男女間の複雑さを無意識的に回避したい頃の、不思議な感覚をきちんと受け手に立ち上らせることができる作品で面白かったです。絵にかいたような、出来すぎた3人の関係ではあったにしろ、またこれでもか、というくらい性的なものを徹底的に排除しつつも、それなりに良かったとも思います、ファンタジー作品としてありだと思います。


今が普通に繋がっていくのが当たり前に見せた後の(決して当たり前ではないのですが、意識しなければ続く「感じ」)、しかも時を戻してやり直せるという出来ないことを経験することで、その価値を1段落としておいてからの、やはりどうしようもない、とり戻せない時間という、1回性というかけがえのない瞬間の連続であることを意識させることで突き動かされる感覚を、とても上手く表現できていると思います。だからこそ「未来で待ってる」はいい台詞だと思いました。


昔の「時をかける少女」が好きだった方に、仲 里依紗が好きな方にオススメ致します。