三樹夫

マッドボンバーの三樹夫のレビュー・感想・評価

マッドボンバー(1972年製作の映画)
3.9
爆弾魔、強姦魔、暴力刑事が相見える!!アテナエクスクラメーションみたいな、とんでもない三位一体がLAに完成。
高校やホテルを次々爆破していく爆弾魔。愛娘を亡くした爆弾魔は、どうやら自分の行いを街のダニ共を一掃する美化活動という社会正義と自分の中で都合のいい解釈をし爆破活動に精を出すのだが、実際の所は自分の気に食わん奴をだた爆破してるだけの頭の狂った奴としか思えない。トラヴィスもこの街は腐ってる、だから浄化しなくてはならないと憎しみを肥大化させていたが、トラヴィスはわりかし共感を呼びつつ落ち込むようなキャラクターだったが、この映画の爆弾魔はそういった感情移入をさせないハードな作りになっている。特にスーパーやレストランでのクレーマーっぷりという、ちんけなクズ野郎としての面が共感を呼ばない強力な後押しとなっている。俺は観ていてこいつは心の底から死ねと思った。さらにそこに登場するのが強姦魔と暴力刑事という殺伐さを見せる。
病院で爆弾魔の顔を強姦魔が見たに違いないと暴力刑事は推理し、まず強姦魔を捕まえようと婦警に街を歩かせおとり捜査を行うのだが、ゴキブリホイホイのごとく大量に性犯罪者が飛びついてくるのには笑った。性犯罪者だけでなく、鉄塔の上で鉄砲と爆弾もって叫んでる頭おかしい男や女子高生が殺伐とした会話を繰り広げているなど、LAの暗黒都市描写も楽しい映画だ。

約90分と一番いい上映時間の上に、爆弾魔と強姦魔で暴力刑事が霞むほどキャラが濃く、気軽にほいほいオッパイが出てくる。強姦魔の最後や逮捕された性犯罪者の合衆国憲法修正第5条コントなど見どころが散りばめられていて、強姦魔の最後の爆発は射精のメタファーの如き機能を持ってしまうのが余計にキッチュな名シーンだ。爆破後の、特に最後の爆破後のボロボロ血まみれになった死体が映し出されるのが良い。爆破粉微塵死体から即エンドクレジットへはデパルマのフューリーを想起する。爆弾魔は神経質で偏執的で一切関わりたくないと思わせる役者の名演が光る。
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