Ryuichi

ハズバンズのRyuichiのレビュー・感想・評価

ハズバンズ(1970年製作の映画)
4.2
随分昔に観たのを再鑑賞
現代の感覚からすると、とんでもない男たちで、確かに見てて不快になる。何の意味もない最低の映画といいたくなる。
最後に結局家庭に帰る、なんだこの終わりは? 
普通は最後に家に帰って、本当に大事なもの見つけたのね、よかったよかったとなるとこだけど、この映画はそうじゃない。まったく心温まらない。何も人生の大事なものを見つけないまま終わる。ただただむなしい終わり方。

これほど徹底的な男のくだらなさのカリカチュアを描いた映画は観たことがない。女性蔑視の映画ではなく、男たちのホモソーシャルへの皮肉。
意味のある物語を期待すると最低の映画に思える。だけど、意味のない話全体を通して訴えてくるものがある。
90年代以降によくある男たちの馬鹿騒ぎを単に面白く描いたものではなくて、まるでその逆。70年代には普通の映画でも、無自覚に女性蔑視な場面が多いのに対して、この映画はその逆。
監督、脚本のカサヴェテスの視点はやはり鋭い。この映画から目を背けたくなるけど、背けられない。
この映画のおっさんたちにまったく共感できず、ただただいらついて憤慨したとしたら、カサヴェテスの思惑通りなんだと思う。
Ryuichi

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