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ハズバンズのとぽとぽのレビュー・感想・評価

ハズバンズ(1970年製作の映画)
3.5
"中年の危機"現実逃避
友の死を引き金に暴れまわる中年男性3人組の傍迷惑で乱暴な現実からの逃避行

ベン・ギャザラ✕ピーター・フォーク✕ジョン・カサヴェテス="男ってバカね"中年の危機。人生のあれこれから逃げては友達とお酒を飲むことやギャンブルにこうじる、そして歌う。この楽しい時間、パーティーを終わりたくない!もう何も怖くない!!
悲哀と暴走。ジョン・カサヴェテス監督のフィルモグラフィーにおいて間違いなく最良な作品ではないけど、彼の作品らしく長回しの中で気まずさを突き詰めては、見る者の注意を引き続ける。にしてもなかなか見るの辛かった。
死者は美化される…。ハリー、アーチー、ガス。親友4人組の一人、その友人の葬式に参列した3人。死を身近に感じて、もう自分たちもそんな歳かと意識・再認識する。そこから一気にタガが外れたようにバカばっかりやる。ずっとベロベロでウザ絡みも憚らない。それぞれに家庭があるにも関わらず、仕事も放ったらかしてハメを外す。まったく理解に苦しむ"荒っぽいおふざけ"。突然やってくる不安や現実、あとトイレとタバコ。お互いに貶し合っては励まし合う。
家には帰らない!自分勝手に振る舞う現実逃避に、不愉快指数。何が面白いのか分からないけど顔いっぱいに満面の笑みを浮かべて、ひっくり返りそうなくらいの勢いで馬鹿みたいに笑う。男らしさ・亭主関白に、女性への暴力的態度。
人生の意味なんて分からないけど、とにかく怖い。このまま死に向かっていくのが恐ろしい、恐ろしくて仕方ない。だから親友たちと過ごして時間もそんな恐怖も忘れたい、どこか遠くへ追いやりたい。必死に忘れたふりして死を遠ざるように、とにかく精神的に不安定で浮き沈み激しく、すぐ言い争ってはまた笑い合う情緒不安定さ。ワケもなく。
罪悪感。奴らがそんなもの感じているのか?とツッコミたくなるけど、始まりあるものには必ず終わりもある。いつかは目を覚まさないと。かわいい妻に子供がいるのに帰りたくない、家も車も。帰りたくないけど家に帰ろう。

「攻撃的な女は嫌いだ」モア・シャンパン!
勝手に関連作品『30年後の同窓会』『ライオット・クラブ』
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