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ブラッド・ダイヤモンドのoden8のレビュー・感想・評価

ブラッド・ダイヤモンド(2006年製作の映画)
4.0
ダイヤモンドの眩い輝きに隠れていた人間の闇。

"白人がダイヤを欲しがるのは分かる。でも、なぜアフリカ人同士で争う?"
by ソロモン·バンディー

人と人が争う理由。その始まりは"自分の自由を護る為。"なんだけど。それは、他者を支配や抑圧しなければ獲られないものなのか?
自分の欲望の為ならば、他者の尊厳はどうでもいいのだろうか?

この作品はフィクションだけど、描かれていることは…今も世界のどこかで起こっていること。銃を手に取り、誰かを殺めることが戦争なのではない。人と人とが、自分の欲望の為に他者を犠牲にするのが戦争なのだ。
他者の犠牲が伴って獲られる"自由"は、自由と呼べるのでしょうか。

人間の本性が、多角的に描かれているの。お金の為だけに動く人間。刺激と真実を追い求める人間。自分達の自由と尊厳を勝ち得る為に、それ以外の他者の自由と尊厳を無価値と見なす人間。そんな奴らに家族を奪われた人間。人間の本質は、人が感じている程に醜いものではないと信じたい人間。望まぬままに銃を持つ少年。
それぞれの思惑が、一つのピンクダイヤにより交錯していくの。そして、交錯していくほどに流れる血。見えてくる、人の醜悪さ。

特に衝撃的だったのは、普通の少年が少年兵に変えられてしまう瞬間か。
僕が自分に起こりえるかもと想像すらしたことなかった、"リアル"がそこにはあるの。言葉に出来ない胸の苦しさ。
人の持つ残酷さ。人は環境次第で、何にでも染められてしまう恐怖。

少年の奪われた心を、取り戻すもの。それは父親の一筋の静かな涙。人を解放させるものは、武力や権力や財力ではない。愛でしかないのよねん。

戦争が人を狂わせるのではない。ダイヤモンドが人を狂わせているのでもない。人の欲望が人を狂わせているのだ。

ダイヤモンドを巡る争いの中で、獲られたもの。
人は環境に大きく影響されてしまうが。完膚無き程に絶望することではない。人は誰もが、誰かを愛さずにはいられないはずだから。人は努力して気付きさえすれば、本当の意味での強さを得ることのできる生き物だということ。
そう信じたいし。そう願わなければ、やってらんないよねん。

長尺なので、嫌遠してたけど。
レオ様とジャイモン·フンスー氏の迫真の演技。それが存分にハッキリされる重たいテーマで、見応えがあり過ぎたぞぉ。戦争映画だと知っていたら見なかったかもしれへんけど。観てよかった。

僕達の生活の一部が、知らないうちに戦争の火種になっている。僕は戦争と無縁で生きていると思ってたけど。僕も誰かの犠牲の上に生かされているのかもしれない。

世界中の誰もが、笑顔でボールを蹴り合える世界。それを願うのであれば、まずは自分が変わらなければいけない。

"おれは悪魔だろ。それは地獄にいるからだ。おれは地獄から出たい。"
by 隻眼の悪魔

"これがアフリカか?"
by 大佐
"T I A"
by ダニー·アーチャー

"善悪は行動で決まるんだ。"
by ベンジャミン·マガイ

"ただの人間だ。"
"今、すげぇ景色を眺めてるんだぜ。"
by ダニー·アーチャー

Cast(役者·キャラ) 4.5
Story(物語) 4
Architecture(構成) 3.5
Picture(画) 4
Acoustic (音) 4
23-81
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