PERSPECTIVE

ザ・ドライバーのPERSPECTIVEのレビュー・感想・評価

ザ・ドライバー(1978年製作の映画)
4.7
アランドロンの「サムライ」の嫡男と聞き、見ること3回。ようやくこいつの立ち位置がわかってきた。徹底してクールなあちらさんと違いこちらは無茶苦茶ドライなのだ。BGMもほぼなし、登場人物は職業はわかるが名前はなく、仕掛けられたゲームの中でお互いに余計な干渉はせず無駄口もたたかず、己の知恵とプライドを武器に淡々と駆け引きをしていく。下手すると退屈で見ていられなくなるところを、ゲームの主催者たる刑事の最高に気持ち悪い(誉め言葉)演技が場の空気をいい具合に保っている。しかしこういったノリもカーチェイスになると一変する。ここでの車は、それまで徹底してドライを貫いてきた奴らの真なる感情を代弁するかのように、画面を小刻みに揺らし効果音をバリバリ立てながら文字通り爆走する。まさに静あっての動であり、本作にサムライの血が流れている何よりの証拠なのだ。
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