Genichiro

フォーエヴァー・モーツアルトのGenichiroのレビュー・感想・評価

4.6
冒頭、クラシック音楽(ECM音源)の粗雑なカットアップから今作もゴダールのハイアート憧れの捩れ、映画への諦念が全開。1996年に今作を見たときの生々しさについて考える。享楽の80年代のあと、ソ連崩壊ユーゴ紛争によって幻想(profound marxism)はゴダールの前から消え去った。虚しい戦争ごっこは戯れでもなんでもなく、実際の戦場を想起させる。映画はもはやパルプフィクションである、テクノロジーによって変質してしまった映画というメディアへのある種の諦念が込められている。しかしそもそもこれはおかしな話だ。映画自体がテクノロジーの発展によってスタートしているわけで、その後も新しい映像技術に映画の未来を見出そうとしたゴダールの捩れが今作では露骨に表現されている。敗北感と共に、しかしそこには確信を持って映画を撮る男の姿が見えたのであった。
「ターミネーター4にしようぜ!」
参考: https://mube2.jp/20100616/265
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