スタンダード

マーティのスタンダードのレビュー・感想・評価

マーティ(1955年製作の映画)
5.0
【何回目のベルでも】


勇気を出して受話器を手に取り、
『女性を映画に誘う』マーティ。


受話器を耳に当てながら、
『瞑想に耽る僧侶』
の如く目を閉じて、
『苦悶の表情』を浮かべます。


その面持ちから、
女性の返事は容易く読み取れます。
『アーネスト・ボーグナイン』の、
『演者としての深みを感じるシーン』
です。


【勇気の空砲】


『マーティの卑屈な生き方』は、
『映し鏡』
のように僕の心へ突き刺さります。


自分に魅力を感じられない中で、
『勇気を出すだけでも』
『賞賛されるべき』はずなのに、
結果が出なければ褒められることもない。


『マーティの満たされない心』は、
『勇気という名の空砲を撃ち続けた結果』なのかもしれません。



【ゆれる】


人はみな、
『自分が置かれた状況や都合』
次第で、
『容易く相手を否定したり』
『賞賛することができる』訳です。


『相手を自分の世界に幽閉するため』
だったり、
『単純に優越感に浸りたいだけ』
かもしれません。


そんな中で、
『自分を保ち続けるのは至難の技』
であり、
『心情が揺らぐのは当然のこと』
だと言えます。


【自分にとって】


マーティの知らぬところで、
『状況や都合は目まぐるしく変化』
しており、それに呼応して、
『マーティに浴びせられる言葉も』
『目まぐるしく変化』します。


その点が、
『恐ろしいほど現実的』
に描写されており、
マーティは他人の言葉に心が揺らぎます。


しかしその中で、
『自分にとっての価値』を見いだし、
『生きがいを得た』
『マーティの芯の強さ』は、
『僕にとって強い励み』になりました。