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七つの大罪のBONのレビュー・感想・評価

七つの大罪(1952年製作の映画)
3.6
フランス・イタリア合作のオムニバス映画。聖書が説く人間を死に至らしめる七大罪をテーマにした映画を各監督が描く。
狂言まわしの繋ぎはジェラール・フィリップ。

◾️第一話…欲ばりと怒り(貪欲・憤怒)
クロード・オータン=ララによる人間の醜さが一心に込められた秀逸な作品。
家賃を払えない男が貸主の男に金を取り立てられ、どう金を作るか必死な局面に丁度貸主の大金の入った財布を拾う…という話。強欲の塊のような貸主の男があまりにも滑稽。貸主の妻もヒステリーを起こし自分の髪をざんぎり頭にしていたが、ウルフカットのようでカッコ良かった。音楽もカメラワークもラストも良かった。

◾️第二話…怠けもの(怠情)
ジャン・ドレヴィルによる可愛いCGを多用した遊び心溢れる作品。文明が発達し過ぎた地上をゆっくりとさせるため、怠惰の女神を下界に下すと想像以上の怠惰まみれになってしまった世界。仕方ないので監視のため行政官聖ピエールを下界に派遣する。

◾️第三話…色好み(淫欲)
イヴ・アレグレによる性の話。
13歳の宿屋の娘が司祭に妊娠したと打ち明ける話。少女から女へのゆらぎ。

◾️第四話…ねたみ(嫉妬)
ロベルト・ロッセリーニによる嫉妬を描いた作品。新婚の画家と美女。画家の寵愛する牝猫への醜い嫉妬を描いた作品。愛を独占したいがために猫のみならず全てに嫉妬していると画家が言い放ち破局。猫が美しい。いつの時代でもどこの国でもありそうな人間の歪みが描かれていて怖い。

◾️第五話…大喰らい(暴食)
カルロ・リムによる食欲の話。一軒の農家に一晩泊めてもらうことになった男が自家製チーズの美味しさにびっくりする小粋な話。美味しそう。

◾️第六話…見えっぱり(傲慢)
エドゥアルド・デ・フィリッポによる
落ちぶれ名門貴族の母娘。娘が呼ばれていないパーティーに一張羅を着て出かける…という話。ミシェル・モルガンの圧倒的存在感。

◾️第七話…第八の罪
ジョルジュ・ラコンブによるジェラール・フィリップの種明かし。想像の罪。

欲望丸出しの人間たち、どれもかなり面白かった。
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