kazマックスグローバーレッド

おわらない物語 アビバの場合のkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

4.0
こんな演出の映画は初めて見た。『ウェルカム・ドールハウス』のブサイク女の子ドーンの葬式から始まるけど続編ではなく、ただ物語の導入部というだけ。『子犬物語』ではちゃんと成長したドーンの姿が見れるのでマルチバースといったところか。

(基本的には)12歳の少女アビバが愛を探しさまよう『不思議の国のアリス』と『オズの魔法使い』がモチーフの愛に溢れた人々の心の闇と残酷な世界。

この映画に関して監督曰く「ある人物に対しどのくらい共感できるかに関して、その人物の性別や年齢、人種というものは関係ない。人々が外見によって持つイメージを崩したかった。その為にアビバの外見にはできるだけバリエーションをもたらすようにした。サイズや見た目が変わろうとも、アビバの中身は同じ性質を持ち続けるのだ」とのこと。

毎回タブーなテーマを毒のあるユーモアで切り込むアメリカ映画界の異才トッド・ソロンズ監督が今回はティーンの妊娠・キリスト教原理主義の中絶問題を扱う。2004年の映画だけどつい数年前にも、たとえレイプ被害や近親相姦で妊娠した場合でも中絶は聖書の教えに反するので中絶禁止の法案を議会に通そうとするキリスト教原理主義者の活動が問題になったばかり。

見たくないもの、イヤなものを疎外された人々の視点を通じて「悲しいかなこれが現実」と言わんばかりに見せつける。『ウェルカム・ドールハウス』『ハピネス』『ダークホース』『子犬物語』も、みんなそうだった。だからトッド・ソロンズ監督の映画は好きなんです。