原題はIntouchables。
つまり「触れられない」というか「触れてはいけない」というような意味だろう。
舞台は、フランス。フランスに一度いったことがあるが、他のヨーロッパを旅しながら、フランスに入ると、気づいた事は、ほかのヨーロッパの国とくらべて明らかに黒人が多い。
ホテルは、パリの郊外で都心から遠いところに止まったが、明らかに黒人が増える。
主人公の黒人・ドリスもそういった場所で育ち、どうみても裕福とは言えない。とくに夢があるわけでないといった感じ。一方、もう一人の主人公のフィリップは、パリに住む大富豪。なんの仕事をしているのかはわからんけど、とにかくめちゃ金もっている。
でも、事故で首からしたはまったく動かない。
とにかくこの映画の題材は、身体障害者の扱いだ。
ドリスが、びっくりするほど、デリカシーがないのだ。すぐ身体障害者をばかにし、すぐに差別的な言動をはっする。最初の方はフィリップが怒らないかひやひやしてみていたが、ずっとニコニコしているのだ。
ドリスがいう言葉には、まったく悪意がないのだ。そして、そこに差別の意識もまったく感じられないのだ。それに気づく事で、フィリップと同じようにこちらもケタケタと笑いが止まらなくなる。
つまり、差別的な言葉がいけないのではなく、差別的な意識がいけないのだ。つまり意識することがいけないのだ。それを教えてくれる映画だった。
その差別の意識がないというのはどこからくるのなかと考えるとやはりドリスのこれまでの境遇がそうさせているのだろう。色んな人が周りにいて、いろんな不運を味わっているいる特殊な人がいて、自分もそういった特殊な環境で育っている。それをどうすることもできないし、それを受け入れることしかできない。あとはそれを武器(ネタ)に生きていく図太さ、無神経さが形成されていくのだろう。
みる人によっては、気分が悪くなるひとがいるかもしれない。けど、世界の大部分の健常者だけでなく、貧困の人も身体障害者もこころの底から笑える瞬間は、すばらしいことだな。
色々能書きを述べたが、とりあえずみて、笑ってほしい。見ている間はなにも考えなくていい。あといろいろな言動にぞっとするのだが、あの映画を見ているときの僕は差別的な意識がゼロになっていた。