tsura

最強のふたりのtsuraのレビュー・感想・評価

最強のふたり(2011年製作の映画)
4.1
事故で全身麻痺となり日々を沢山の介護付きで生きる富豪とスラム出身で日々を過ごすのにやっとの黒人青年がお世話係をする事になるところから物語は始まる。

富豪は介護士がすぐ辞めるので、自分を尊重してくれる人を探す一方でかたや、失業手当目当ての面接だった。


この映画と同様にフランスの格差はまさに天と地に分かれている。

そんな記事を目にした時、自分がフランス(特にパリ市内)へ赴いた際に感じた一抹の現実を思い出した。

路上でゴザを敷いて子供と金を募る姿。

何処で仕入れたのか格安の水をピン撥ねして売る姿。

かと思えばジプシーの様に、おもむろに金品を強奪したりするグループもいたり…

華々しさとは裏腹に同居する光景は日本以上の貧富を見た気がした。

特にこの国は移民、それもアフリカやアラブ系の人種が多くフランスに横たわる階級制度に入り込めないとなると非常に厳しい現実と日々向き合っているわけで。

そんな天と地がこの作品ではコミカルに時にドラマチックにでもリアルさも持たせつつその難しい舵取りを強いられるストーリーをこれでもかとポジティブにそして楽しく作り込んでいる。

お互いの価値観や様々な壁に衝突しながらも日々をひたむきに生きる2人には彼等にしかわからない深い絆が醸成していく。
その変化がつぶさに見て取れ、それが楽しくもあり何より感動的であり、立たされた環境に悲観する事なく、前を向いて生きている描写には誰しもの心に響くはずである。

そんな吸引力の強さには主役2人の演技は何より欠かせなくて特筆すべきは黒人青年ドリス役のオマール・シーの演技は最高にノッていて、やや乱暴な言動に圧倒されつつも、彼のハートの温かさに触れていき観客はいつのまにかその一挙手一投足に魅せられていくわけだ。

彼にコメディとして映画を見せてる部分もこの作品の成功の要因と思う。
じゃなかったら陰気臭くて、飽きてしまう。

このストーリーが実際の話がベースということもあってか尚の事ストーリーの展開には驚かされてしまう部分が多いが、少し強引なところは大目に見たとしても人と人との繋がりにまた感動させられてしまいました。
tsura

tsura