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最強のふたりのchurroのレビュー・感想・評価

最強のふたり(2011年製作の映画)
4.0
本編の内容に触れる前に前置きを。
ドリスのように、あっけらかんと障害者に接していける人は殆どいないと思う。

恐らく私もその内の1人で、結局最後まで不謹慎すぎて笑っていいのか分からない場面もあれば、声を出してケタケタ笑っていたり、知らない内に口角を上げていたりと全く落ち着かなかった。
例えばドリスがフィリップの最大級の拒否を無視して、片想いの文通相手に電話を掛けろと迫るシーン。五体満足の若者同士であれば取っ組み合いで携帯の奪い合いが始まる微笑ましい状況なのかも知れないが、フィリップにはそれが出来ない。必死に首を横に振り続けて抵抗する姿は、観ていて少し心が痛んだ。

等身大以上の事を相手に「してあげよう」と思ったとき、そこに同情が生まれる。対して心と心を同じ立ち位置で通わせることが出来れば、慈しみや思いやりは何の妨げもなく相手に通じる。ドリスは周囲に同調することなく、常に自分が感じたままを表現出来る稀有な人物だった。彼は私に同情していない、と説明するフィリップの言葉がストンと腑に落ちる。
心無い同情から生まれる慰めの行為は、逆に相手を深く傷付け遠ざけるのかも知れない。

全体を通して2人の心底楽しそうな笑顔と、流れる音楽がとても素敵な映画でした。サプライズパーティー終盤での音楽連想ゲームなんてもう最高すぎる。気付けば私もフィリップと同じように、ドリスの気取らぬ姿に沢山笑わせてもらいました。
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