クリーム

夜になるまえにのクリームのレビュー・感想・評価

夜になるまえに(2000年製作の映画)
3.8
独裁政権下で、時代に翻弄されたキューバ人亡命作家のレイナルド·アレナスの自伝小説の映画化。ジョニデが一人二役で出てます(ほんの少しです)。内容は自伝ながら、激動の人生なので、引き込まれました。当時のキューバの背景や音楽もノスタルジックで良かったです。

キューバで、極貧の幼少期に文才があると教師から言われ、詩や小説を書くようになるレイナルド。バティスタ独裁政権を打倒する暴動に加わり、1959年革命の勝利後、教育プログラムにより、ハバナ大学で学び、図書協会に務め、文化人達やゲイ達との交流を始めます。処女小説がコンクールで佳作となり、著名な作家ホセ·レサマ=リマに認められるのですが…。



ネタバレ↓



芸術家は独裁者にとって危険な存在であるとの考えから、朗読会は禁じられ、3人以上の集会は認められず、作品は全て検閲される様になります。
1973年に子供にワイセツ行為をしたと言う冤罪で逮捕されます。
フロリダまでタイヤ·チューブで海を渡り、亡命しようと試みますが、辿り着いたのはハバナの海岸。再び逮捕され、モーロ刑務所に収監された。
レイナルドは刑務所内で手紙の代筆をし、煙草を貰い、それらをペンや紙に変え執筆活動をします。原稿をボンボンというオネエに頼み刑務所外に出して貰います。ボンボンは、ビニール袋に入れた原稿を尻から入れて直腸に隠す方法で運びます。
ある日。ビクトル中尉に2度と執筆はしないと約束し、釈放された。
友人が部屋を用意してくれ、廃墟となった教会跡で手作りの気球を作り脱出しようと計画。ここで、生涯の友となるラサロと再会。気球脱出は失敗した。
1980年、カストロは、同性愛者や精神病患者、犯罪者は革命に不要とし、出国するのを許可します。レイナルドは、NYでドアマンをしているラサロと落ち合い、自由を満喫します。
しかし、87年にAIDSと診断された。反カストロ運動をしつつ、短編、詩、エッセイ、戯曲を書き続けます。
最後は、ラサロに病院で目を覚ましたくないと言い、何通かの手紙を託します。ラサロは、薬を飲んで苦しげに眠る彼にビニール袋を被せた。

自由やより良い生活を夢みて、バティスタ政権を倒す暴動に参加したのにカストロ政権下では、もっと酷い目に合う事となった、レイナルド。まさか、革命後に芸術家やゲイが、あんなに不当な扱いを受けていたのは、知りませんでした。諦めず執筆し続け、ゲイである事を誇りに生きたレイナルドは、現代の芸術家やLGBTQの人達の人権に繋がる功績だったと思えました。
また、一人二役のジョニデはオネエ役の時は妖艶で、美しいお尻も披露し、中尉の役では、冷徹なイケメンを見事に演じ分けていて良かったです。
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