8Niagara8

HANA-BIの8Niagara8のレビュー・感想・評価

HANA-BI(1997年製作の映画)
4.7
台詞の数も少ないし、引き算の美学を感じる。
西はニヒルで厭世的な雰囲気を纏うし、かなり疲れている。
『ソナチネ』よりも実直に愛を映している。

ラストシーンがあまりにも美しく、生身の人間を見る。それまで暗かった画面が一気に開け、全編の物語を収束、結実させる。そしてそれはまるで『山椒大夫』のそれと重なる。
意味論的にもそこで描かれていたものにも通ずる境地があった。
決して幸せとも言い切れないのだが、解放的文脈になってしまう。
バイオレンスによって生と死が可視化されるというか。残虐さでもって刹那性をもたらすのはやっぱり凄すぎる。
笑えるシーンは僅かだが、緩急の付け方が完璧。全く中弛みしない。
相変わらず画がかっこいい。事件のシーンのカットの作り方なんて感嘆で鳥肌もの。
8Niagara8

8Niagara8