ARAN

HANA-BIのARANのレビュー・感想・評価

HANA-BI(1997年製作の映画)
5.0
愛と人生を描いた映画の最高峰とも言える作品なんじゃないだろうか。この映画が金獅子賞を獲得したのも当然のように納得できる。「この男凶暴につき」でもそうだったけれど、北野武が描く男はいつも優しい。この残酷で無慈悲な世界では逆に異常に映ってしまうほど優しすぎる。そんな優しい男が大好きな北野武がラストシーンを正直に映すはずもなく、ただあまりにも丁寧に鮮烈なイメージが残るように誘導してくれてる。いっそ映してくれた方が楽なほどに美しく青々しいキタノブルーの海がこの映画と彼等の終わりを埋め尽くす。ありがとう、ごめんね。最後の彼女のこの言葉がどれだけ彼等を救ったんだろう。この言葉にどれだけの想いが込められてるんだろう。そんな事を思うたびに涙が止まらなくなる。
HANA-BI、花と火、生と死、堀部と西。
いい映画には必要不可欠である対比の要素を映像的にも構造的にもしっかりと詰め込んだ最高の作品。こんなにも悲しくて優しい映画は滅多に現れない。
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