あらゆる意味で想像を超えていたロバート・フラハティ晩年期1948年作。
仏語を話し自然へ順応する父子と英語話者の油井掘削工達との対照による、呪術性と近代との鮮やかな交錯。鰐との格闘、アライグマの逃走。鋭い金属音が闇を切り裂き、異界への穴を少年は静かに見つめる。
フラハティ『ルイジアナ物語』、雄渾たる大河の懐に抱かれ暮らす少年の、自然と戯れるような描写ののち唐突に現れる、油井掘削の場面が圧巻。陽光に照らされた河面をすべるように水平移動していた映像が突如、暴力的な叫びを伴う垂直運動へと切り換わる。魔術的時空の変容。
『モアナ 南海の歓喜』公開記念上映にて鑑賞。突如開ける異様な縦への没入感覚、茫然自失。
『モアナ 南海の歓喜』https://twitter.com/pherim/status/1052353283363205120
『極北のナヌーク』『極北の怪異』 “Nanook of the North” https://twitter.com/pherim/status/1345016667508592641
(驚異の在り処を教え続けてくれるアテネ・フランセ文化センター@afcc1970を巡る連ツイ→https://twitter.com/pherim/status/761752948279959552 )
