Ryoma

ミツバチのささやきのRyomaのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.7
現代アートハウス入門というイベントで鑑賞。
僕にとって「いい映画」というものをかみ砕いて考えると、それは結局「詩」であったりする。最近観た映画だとタルコフスキーの鏡がそうだし、まあ大体の名作が「詩」を纏っていると言える。
では、ミツバチのささやきはどうか?
完全に「詩」の映画だと思う。自分でもよくわからないまま何故か胸が締め付けられるシーンが多々あったが、それらはみんな「詩」という言葉で説明できる。
解説で専門家の方々も言っていたが、「アナの無垢な瞳」、「台詞を排除した音によるやりとり」、「果てしなく広がる荒野」、「窓から差し込む黄金の煌めき」、そんなものすべてが映画でしか得られない極めて映画的な「詩」なんだと思う。
観ている最中、平面であるはずのスクリーンが果てしなく奥へ広がっていて、そこに自分が引っ張られているような感覚がして、軽い疲労を覚えたが、映画館を出て冷たい夜に触れると、心地の良い疲労に変わった。つまり、いい映画だった。
Ryoma

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