紅茶

ミツバチのささやきの紅茶のレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.1
スペイン独裁政権下の40年代舞台。閉塞的な世界の中で生きる者、特に純真無垢な子どもアナの視点を切り口として、そこから見える世界を描いている。これ見よがしに映る宗教画。なかでも画の右隅に映る骸骨は一際目を引く。昔、絵画の中に存在する骸骨は死を表すアトリビュートだと誰かに吹き込まれたのを思い出した。そして二度挿入される蜂と巣箱についてのモノローグも印象的。アナとイサベルが寝床につきながら、『フランケンシュタイン』(1931)について囁き合う様子は、密室の中で大きな声を上げられず、ひっそりと生きるしかない独裁政権下の市井の人々と重なる。『フランケンシュタイン』がハリウッド映画という"外部"の象徴だとすると、その"外部"との触れ合いが、物語を揺るがす起点となっているので、内(国内)と外(国外)の関係性が本作の真髄になっているのかもしれない、よくわからないけど。とにかく、子どもたちは可愛いので要再見。

余談だけども、以前BSのドキュメンタリーで、イギリス人の音楽運び屋なる人物がジョイ・ディヴィジョンやボウイのレコードを東ドイツに密かに運んでいたエピソードを思い出した。外のカルチャーに触れることは良いこと。
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