1973年、ビクトル・エリセ監督作品。
フランコ独裁政権下のスペインで作られた100分に満たない小品ながら、含意と幻想的表現に富み、忘れ難い余韻を残す作品。5歳にして主演を務めたアナ・トレントは現在も俳優として活動している。頑是ない少女が見つめる、どこへ向かうかわからない不穏で不安な世界へのまなざし。
検閲をパスするため作品のメッセージはあくまでもモチーフとして示唆されるのみ。舞台も1940年ごろカスティーリャとされている。巡回上映されるフランケンシュタインと人体模型の対比。自らの思考を持たず巣箱に閉じこめられるミツバチと撃ち殺される逃亡者など。歴史的資料としても興味深い。
本作最大の魅力はなんといってもアナの演技というか存在。単なる"かわいい子役"というだけでは表現しきれない、たき火を見つめるだけの表情にすら、とてつもない魅力がある。
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