天パーマン

ミツバチのささやきの天パーマンのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
-
光の綺麗な映画だった。しかし光のあるところにはやはり闇があるということを再認識させられた。

この作品はこの時代らしく政治批判のメタファーが盛り込まれている。しかし決して政治に対する抵抗を前提に作られたものではない。

イザベラに狂気的側面を持たせたのに対し、アナの純粋無垢さには筆舌尽くしがたい美しさがあった。監督自身が言うに、まだ幼い彼女は撮影と現実に区別がついていなかったようだ。

子供には無垢と狂気が共存している。しかしそのまま生きてはいけない。社会的にも生けていてはいけない。
フランケンシュタインもその無垢さ故に花びらのように少女を湖へ投げ-私はそう解釈する-殺してしまってから殺されるまでの束の間、生とは何かを実感しただろう。
アナも映画を観てから始まり脱走兵の死に触れ人生の階段を一段上った。

この作品はスタンドバイミーのように成長ものとして非常に良くできたものであると感じた。

真に美しいものを観た。
天パーマン

天パーマン