いわゆる「おしゃべり」が一言もない、大事なものだけが映っている。しかもそれがいくつも意味を持っている。
父親が食卓でアナに時計を見せるシーンで泣けた。あの目配せで全てが伝わってしまう繊細さがフィルムに焼き付いていることに感動したのだろうか。
子どもを通すと人間に備わっている本質がむき出しになって可視化される。大人にも隠しているだけで一定数アナぐらいに賢く繊細な人がいて頑張って生きているんだろう、ヴィクトル・エリセは間違いなくそのうちの1人なんだろうなと思った。フランケンの幻を見ているところだけは子ども時代に特有の恐怖だろうが。