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フランケンシュタインの花嫁のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

前作で死んだと思われていたフランケンシュタインの怪物が生きていた!怪物は盲目の老人と知り合い、初めて人間として扱われる喜びを知る。一方、邪悪な博士プレトリアスは、フランケンシュタイン男爵の妻を誘拐して脅し、怪物のパートナーを造ろうとしていた…。

1931年に製作され大ヒットした」フランケンシュタイン」の続編。
怪物の悲哀だけでなく、僅かな救いもある。
アクションもコメディパートもあり、物語のテンポも良く、続編としてパワーアップ。
前作よりもエンタメ志向は強いが、やはりホラーの傑作である。

冒頭、原作者であるメアリー・シェリーと夫、バイロン卿が登場し、小説「フランケンシュタイン」の成功について、あまりにも「軽いノリ」で語り合う。
ここに貴族的な嫌味と本編の主人公である怪物の悲劇と落差を感じるが、その流れで前作のあらすじを手短に紹介するという、前作を未見の者にも優しい親切設計だ。

そして物語が始まるのだが、生命辛々助かったフランケンシュタイン男爵の前にライバルのプレトリアス博士が登場。
そして、彼は小人(ホムンクルス)を生み出す技術にフランケンシュタインの技術を用いれば、今度こそ完璧な人造人間が作れると説得する。
そして、前作で炎を放たれ倒壊した屋敷から怪物が生き残った情報を聞くや否や、彼のために花嫁を作ろうと男爵を誘う。

一方で、怪物の逃亡劇が始まる。
村人に追い回され、逃げ惑う彼がたどり着いたのは盲目の老人の家。
飢えに苦しむ彼は、盲目ゆえに外見ではなく内面を察してくれる孤独な老人と心を通わせる。

老人と怪物が孤独と喪失感を埋め合う場面は感動を呼ぶ。
人間は悪人ばかりではないという救いだ。
老人は怪物に言葉を教えていき、より怪物の気持ちが伝わりやすくなる。
しかし、そんな感動の場面は無残にも人を見かけで判断する人々によって破壊されてしまう。
微かな幸福すら奪われるのである。

そして、怪物はプレトリアス博士に誘われるままに、花嫁誕生の瞬間に立ち会うこととなるのだが、そこには怪物の期待を裏切る悲しい結末が待っている。

なんと、怪物のために生み出された花嫁は、醜いモンスターを愛する事なんてしないのである!
怪物が待ち焦がれたヒロインは、主人公の顔を見るや、大声で絶叫し、あからさまに怪物を拒絶するのだ!
この絶望感より説得力ある絶望が他にあるだろうか?

絶望した怪物は、研究施設の塔を爆破して全てを葬りさる。
怪物の行方は、ようとして知れない…。

原作では創造されなかった怪物の花嫁に焦点を当てた独創的な脚本。
怪物は、怪物として徹底的に迫害される。
そして彼の生きる希望を打ち砕く悲劇。
本作もまた傑作である。
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