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オレの心は負けてない 在日朝鮮人「慰安婦」宋神道のたたかいのgejiのレビュー・感想・評価

4.9
授業で見た。

裁判の判決が全部クソで腹立った

日本政府と日本軍が制度として他民族の女性を性奴隷にしたことが、被害者を目の前にして「時効だ」という一言でなぜ片付けられるのか

彼女の体験は事実だと認めながらも、謝罪を求める裁判を棄却する意味がわからない

映画を見ながら、彼女は少なくとも三つの交差点に立っていたとわかった。

一つは戦争の被害者という点。講演会に来た同じくらいの年齢の男性と話すシーンがあった。兵士となって駆り出された男性も、同じく戦争の被害者として共有するものがあるという視点がそこにはあった。

二つめは植民地主義、民族的な差別の被害者という点。
日本の侵略と植民地支配のために、コリアンである彼女は性奴隷となった。日本人兵士を産むために母にならねばならない日本人女性とは区別される。彼女は植民地支配下の民族だからこそ性奴隷にされた。
また日本のために戦争に「貢献」したにもかかわらず、コリアンであるがゆえに恩給や手当から除外されている。

三つめに性差別の被害者という点。女性の身体と性が日本政府と軍によって制度として管理され搾取されていた
窓のないコンクリの部屋で、軍人に殴る殺すと脅されながら相手をさせられた。彼女の身体には刀傷や、源氏名の入れ墨が78歳になっても残っていた。彼女の左の鼓膜は殴られた時に破れたまま難聴になってた
「慰安所」で何度も妊娠して、一人で出産して、死産を処理して、子どもを戦地に置いてきた
そういう状況を政府と軍が女性に強いていた

しかもそのことが東京裁判では裁かれなかったのが驚きだ。戦時下の性暴力は、戦争犯罪として裁かれなかった
半世紀後まで裁判にすらならなかった
女性への暴力は犯罪として問われもしなかった
裁判を行う側に、犯罪である性暴力を裁くという意識が欠如しているのではないか

彼女が闘った2000年代の裁判でも、その態勢は変わっていなかったのではないか

だから生き証人を目の前にして棄却なんてできるじゃないか

私はそんな日本に日本人として生まれて恥ずかしいと思った
でも映画の最後で彼女は「日本人であることを恥と思わないで、くりかえさないようにすりゃいいんだから」と言ってた
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