もりもと

地球は女で回ってるのもりもとのネタバレレビュー・内容・結末

地球は女で回ってる(1997年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

おもしろかった記憶だけあるけど細かく覚えておらず再現。

ウディアレン映画は大体が「人生の寄るべなさをセックスでしか埋めることのできない悲しい男」の話であり、それが自身の投影でもあるわけですが、「自作のキャラクターに自己を投影しちゃう」というとこまで込みで自己投影してる、という二重構造になってるのがめんどくさくておもしろいです。

作家である主人公の作品が、あまりにも(周囲を含めた)執筆当時の自己の投影すぎて、小説を書いたつもりが暴露本扱いされて今までの嫁たちにキレられる、と言う話。
最終的にはそのその寄るべなさを、作品づくりとして昇華するってことでいいじゃん!(今までがそうだったように)ということに気づくといった前向きな結論で、良かったです。

主人公が今までに書いてきた短編小説のさまざまな自己投影キャラクターが出てきて、それがそもそもウディアレンの投影でもあるので、「ウディアレンあるある」が結構網羅的に出て来てる気がします。

保守的なユダヤ人家庭に育ち、ユダヤ教どころか宗教そのものを憎むようになってしまった男という、これもお決まりのパターン。「おれが信じるのは素粒子とブラックホールだけ!それ以外はクソ!」は使えるセリフだなと思いました。
精神分析医である当時の嫁(子供を産んだ後、ユダヤ教に回帰してる)の患者との不倫がバレた時の痴話喧嘩
「一体、何人の患者と寝たの!?」「1人だけだよ!神に誓う!」「無神論者のくせに!」「神の不在はおれのせいか?!」がかなり笑える。

自分と同じくらい賢く同じくらいジョークが面白い、(作品づくりは自分の方が上手だが)自分ほどの偏屈さは全くない、みたいな友達がいて、彼女を紹介してしまったもんだから寝取られてしまった、というくだりもよくある。「硫黄の匂いがした」みたいな表現が笑えます。

それ以外にもジョークがたくさん。ピンボケ男のくだりは本当に笑える。主人公自身がピンボケ男になってしまい自信を失い、「俺は世界最低の男だ!」「そんなことないよ!もっと最低な男はいる!例えば……ヒトラーとか!」「じゃあヒトラー、ゲーリング、ゲッベルス、その次が俺!!」みたいなくだりとか。
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