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青い春のILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

青い春(2001年製作の映画)
4.2
原題『青い春』 (2002)

監督・脚本 : 豊田利晃
撮影 : 笠松則通
編集 : 日下部元孝
音楽 : 上田ケンジ、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
出演 : 松田龍平、新井浩文、高岡蒼佑、マメ山田、小泉今日子、他

松本大洋の短編漫画集『青い春』に収録の『しあわせならてをたたこう』をベースに他の複数のエピソードを合わせ、不良高校生たちの閉塞感に満ちた青春の日々を鮮烈に描き出した青春群像劇映画。

豊田利晃「青春三部作」の二作目。

大傑作。

個人的に日本青春映画でトップレベルに好きな作品。

松本大洋の持つ原作の世界観を非常に巧く「映画」として落とし込み、見事に成立させていて、救いのない不良たちが送る刹那的な毎日を通して、「青春」という時期の持つ“行き場のない怒り”や“苦しみ”、"葛藤""青さ"を見事に描いている作品。

音楽の使い方も素晴らしく、ミッシェル・ガン・エレファントの楽曲が本作と非常に相性が良く、「赤毛のケリー」と共に始まるスローモーションでの冒頭シーンのゾクゾクするカッコよさは異常だし、校舎の屋上のタイムラプスからの「ドロップ」が流れ、破滅的な終わりを迎えるクライマックスは日本青春映画屈指の名シーン。

あと、屋上で柵の外に立って手を叩く回数を競う「ベランダゲーム」は「青春」の持つ"危うさ"を表現する見事なインパクトを持ったアイデアだとつくづく思う。
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