似太郎

マダムと女房の似太郎のレビュー・感想・評価

マダムと女房(1931年製作の映画)
4.3
日本初のトーキー映画として知られる。『大阪の宿』の五所平之助監督初期作。夫婦の心の揺れ、または微細な動きのみを追求した一編。

なんてことのない「瞬間」がひたすら永続するイメージで成り立っており、この頃の自然主義文学やお芝居にも通底する「物語は何も語らず」の美学を貫いた中編。夫婦間のいざこざを実に丁寧にアッサリしたタッチで描いている。田中絹代は一世一代の名演。

自然描写に加え、美術、衣装などはまだ大正時代を引きずっている感じ。「やっぱり人間はいいな〜」と思わされるのが、この監督の最大の特徴でもある。のんびりマイペース。そこが良い。
似太郎

似太郎